11/26の日記
22:04
思い出すだけで、
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泣きたくなるのは、君との思い出が優しすぎるから。
どうせなら、嫌いだと罵って、
二度とは思いだすことの無いように記憶から消えてしまえば良かったのに。
「…――皮肉だよ」
「…左様でござるな」
聞き慣れたはずの彼の丁寧な言葉遣いも、全てがそのままで。いっそのこと、全部が演技だったと。全部お前を騙すためだったと――…そう言って欲しかった
―――風が、凪いだ
彼の…、幸村の後ろ髪がふわりと風に舞うのが見える
その柔らかに踊る様が、私はとても好きだった…ううん、好きだ
少しだけ目を細めた私の名を、幸村は呼ぶ
けれど、私は返事をしなかった。否、することが出来なかった
堪えた涙が溢れそうだ
『ゆきむら』
声には出さずに、そう口にした
彼が、目を見開いた
敵――…私の、敵である幸村
主に従うのが忍である私の役目
主君を裏切るつもりはない
寝返るつもりもない
ただ、ただ一度だけ
伝えたかっただけ
『――お慕いしております』
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