企画

□堂々巡りの恋煩い
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「さぁ選べ!!」


「…ついにイカれたか、政宗」












人の部屋の襖をすぱぁんと盛大に開き、飛び込んできて第一声に何を言うかと思えば。

にやりと不敵に笑う顔は例の如く…いや、どう転んでも(私にとって)悪い方にしか転がらないと暗示している


一体何からどう突っ込めば良いのかが分からなくなってきた

取り敢えず、私は持っていた筆を置いて溜め息を吐く


『Hey、幸せが逃げるぜ?』ってあんたのお陰で私の幸せは逃げる一方だばかやろう

座れ、と促せば、何の悪びれもせずにどかりと目の前に座る奥州筆頭









さて。














「一から説明してくれる?」


「どっちがいい?」


「…だから、何が」













切り出した内容にも、まともな答えは返って来なかった

…本当、頭が痛い
小十郎さんはこんな感じで身体を壊していくんだろうな、御愁傷様


南無、と頭の中で合掌をし、南蛮語よりもまず日本語を勉強するべきである政宗に意識を戻す



幼子を相手にするよりも、こいつを相手にする方が何倍も疲れる

一体何を選べと言うのか
(聞きたくは無いが)もう一度問えば、今度は少しだけ人間らしい答えが返ってきた












「trick or treat!」


「…はぁ」














と、思ったのだが。
再び脈絡の無い言葉に、私の頭はかくりと落ちる

駄目だ、怒ったら敗けだ



『日本語でどうぞ?』と怒りに震える声で言えば、再びあの得意気な顔が見えた






…本当に殴ってやろうか















「お菓子と悪戯、どっちが良いかってことだ」


「どうしてその二択なわけ」


「そういうeventなんだよ」


「日の本の国で言ってんのはあんたくらいだよ」


「ここでは俺がruleだ」


「あーそーですねー」













聞くんじゃ無かった
本当に聞くんじゃ無かった


ぶち、と切れた堪忍袋
『ねぇ、殴っていい?』の言葉と共に繰り出した拳は、いとも簡単に政宗に受け止められた

…ち、腐っても武将か













「口と手を一緒に出すんじゃねぇ」


「いいから黙って殴られろ」


「過激だな、Honey」


「好きでしょ、そういうの」


「Ah…そうだな」













私の台詞に、少しだけ目を丸くして、すぐに細められたかと思えば満更でも無い表情を浮かべる

…ろくでもない妄想してるんだろうな、この馬鹿は


はあぁ、と諦めにも似た盛大な溜め息を吐き、まるで憐れむような視線を政宗に向ければ、それに気付いた政宗が居心地悪そうに眉を寄せる













「その視線はやめろ」


「何のことか分からないね」


「俺が一体何をしたってんだ」


「自覚無しですか最低ですねあんた」


「二択を選べっつってるだけじゃねぇか」


「だから理由が分からないんだってば」


「理由?」













投げては返す、
その繰り返しの中、片眉を上げた政宗が、口端をも上げる

結局は、どうあっても私が振り回される羽目になるのだ













































(愉しいからに決まってんだろ!You see!?)
(本当、頼むから帰ってくんない?)
(Ha!馬鹿言うんじゃねぇよ、此処が俺の城だ)
(あーそうでしたねー、実家に帰らせて頂きます)
(断る)
(もうやだこの人)










































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