企画

□甘いのは誰の所為?
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「お菓子くれなきゃ悪戯するぞー」


「…何この可愛い子」











今日だけは特別に許された夜更かしに、喜ぶ子供の黄色い声が響く中、事前に知らされてはいたが。

まさかこんな贈り物…いやいや、贈り物…














「悪戯しちゃうぞ」


「喜んで!」


「カカシ先生!!」













思わず両手を拡げてカモン!状態を作った俺に叱責の声が飛んでくる

可愛い子にはしっかりとした保護者ならぬイルカ先生がついていた

俺としては、この際、彼女の発する言葉が例え棒読みで無表情であったとしても一向に構わないのだが


…こうも至近距離で睨まれては手も出せない





拡げた手を引っ込め、彼女に合わせて玄関でしゃがみこむ















「ちっ」


「今舌打ちしましたか、カカシ先生?」


「あははやだなーイルカ先生気のせいですよ年ですか?」












殺気増したけどそんなこと気にしなーい

にこりと右目を弓なりに曲げ、目の前に佇む可愛らしい…これは。













「何の衣装?」


「ドラキュラだよ、ほら」











ぺらぺらとした黒いマントを纏った彼女は、得意気に口を大きく開けた

左右に一つずつ、妙に伸びた犬歯が見える


成る程、と呟いていると、その小さなドラキュラから手が伸びてくる

拡げた掌は眼前に突き付けられ、早くとせがまれたら出さない訳にはいかない


出来ることなら、お菓子をあげて満足されるよりも、悪戯されて俺が満足したいんだけどね

ホントにね
凄い睨んでる人が居るから言わないけどね














「じゃあ、はい」


「チョコレートだ!」












チョコレート一つで飛び上がる彼女は可愛らしくて(勿論、大好物だということは調査済み)

俺の頬まで緩む
『ありがとう、先生』の言葉に思わず両手を拡げたが、すかさずイルカ先生の制止が入った


…ちっ









俺の行動を警戒しながら、早々に彼女を此処から立ち退けようとするイルカ先生

そんな邪魔に負けじと、俺は彼女の肩をちょいちょいとつつく





『ん?』と振り返った小さなドラキュラに耳打ちをすれば、再び咲かす満開の笑顔













「本当!?」


「本当だよー」


「カカシ先生?一体何を…」



























―――――ちゅ、






イルカ先生の言葉も途切れ、聞こえてきた可愛らしいリップ音

びしり、と固まったのはイルカ先生だけじゃなかった











































(ちゅーしたから、チョコレートもう一個頂戴!)
(いいい今、口にした!?)
(だって、カカシ先生大好きだもん!ちゅーは好きな人にするんでしょ?)
(もう一回、今度は口布外すから!)

(一体何やってるんですか、カカシ先生!!)































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