09/07の日記

10:54
きゃあ(張コウ視点
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届いた竹簡をからりと畳んで、文遠様(張遼)がふむ、と髭を扱かれました。
「いかがなさいました?」
「行軍の速度を落とすか…」
問えば文遠様は私に竹簡を差し出されながらそうおっしゃいました。
不思議に思って竹簡を開けば、殴り書きされた一文が。

『景升(劉表)危篤』

…。
「景升が死にかけているらしい。これが本当なら…」
そのまま黙ってしまわれた文遠様に、私はええと、とこれまでの情報を整理してみました。


景升殿には男子が数人おられて、御長男はとても立派な方だとか。でも地元の有力豪族の娘が産んだ末子を殊の外可愛がり、結局しかと後継者を決めていないそうです。本来なら太守職を速やかに朝廷へ返却しなければならないのだけどこの乱世、官職は名目のみとなりはててその地の有力者や前皇帝の頃からその地を治めていた者達の血族がそのまま統治を続けています。だから景升殿が亡くなっても、恐らくそのお子様が跡を継ぐのでしょうが…。

「漁夫の利、ですか?」
問えばそうだな、と文遠様が頷かれました。
「下手に突いて団結されるとかなわん」
…御兄弟同士で争わせるのですね。
仕方ない事ですが…。


「きゃ…」
顔を伏せた私の腕がいきなり引かれて、文遠様の胸元に抱き込まれました。
そっと見上げた文遠様はいつものように心のうちを見せてはくださいませんが、でもその優しさが嬉しくて…。素直に甘えて頬を擦り付け…。

「遼ー、いい陽気だしもう少し行軍を…のぁあああああ!!!」
いきなり幕舎を覗き込んだ文心殿(張汎@張遼兄)が…。
あ、あの、あのこれは…!
「勝手に騒がせておけ」
憮然と言われると、文遠様は私を抱き込む腕に力を込めました。

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