09/03の日記

10:51
自業自得( 司馬懿視点
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「…とそんな具合でな。まあ出鱈目というか、策士というか…。露見せぬかと見ているこちらがはらはらする」
ほー、それは大変ですな…。
「火鼠の裘(かわごろも)など、どうごまかしたと思う。川獺(かわうそ)の革に顔料を溶いて色を塗りたくっただけだぞ。見る者が見れば直ぐに分かる」
あーはいはい、そうですなー。
「燕の子安貝など…。…聞いているのか仲達」
…いえ?

うんざりした感で愚痴る子桓を視界の端において、生返事で竹簡の処理をしていたら遂に睨まれた。
「お前は実際関わっておらんからそういう態度を取れるのだ。一度一緒に何かやってみろ、絶対呆れるぞ。まったくあの男は…」
…。
あのねぇ子桓。
私の傍でえんえん他の男のことを愚痴るの、止めていただけませんかね。文和殿(賈ク)が舌と頭でもって相手を煙に巻く方だという事は既にご存知でしょう? 何を今更。
それに私は文官ですよ。文和殿と仕事をした事などそれこそ山のようにあります。彼の見事な弁舌に言いくるめられた…いや、納得させられた事なんて腐る程。今更少々のごまかしには驚きませんよ。
さあそれより仕事仕事。これ、明日までなんですよねー。

ふと気配を感じて頭を上げれば、柔らかく温かいものが唇に触れた。
「妬いたか?」
してやったりと、にやり、笑う子桓に一つため息をついて見せて…そして襲い掛かってやった。

自業自得、でしょ?

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