09/02の日記

23:28
お題(曹丕視点
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単于から届いた返信には、条件次第で蔡娘を返してもいい、という文面が綴られていた。
よし、と心で頷いて、だがその条件が書かれた目録に目を通して椅子から転げ落ちかけた。

…何だこれ。
眉間にシワを入れたままで文和殿(賈ク)を見遣ると、文和殿は事もなげな涼しい表情をしている。


「文和殿、どう思われる?」
一応尋ねてみると、文和殿は落ち着き払って一つ頷いた。
「与えてやればよいでしょう。主公はどんな手を使っても、とおっしゃったのですから」
「…どうやって」
「何、どうせそのようなもの、誰も見たことがないでしょうからな。腕のいい細工師に命じれば一月とかかりますまい」
「…偽物を作るのか」
「偽物ではありませぬ。その目録に書かれているものなど、実際は存在しておりませんからな。最初に作ってこれだと宣伝すれば、余程の駄作でないかぎり世間など簡単にそれを本物と見なしますよ」
…それを偽物というのではないか?

「何にせよ…」
文和殿がゆるりと茶を啜った。
「この信(手紙)は蔡娘の起草でしょうからな。どうにか無理難題をふっかけて我等に諦めさせようとしておりますれば…。こちらは受けて立つのみ」
ふふふ、と自信の篭った笑みを見せる文和殿に、少し寒気がしたのは…内緒だ。

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