08/30の日記

22:38
やられた…!(司馬懿視点
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そりゃね…。いろいろと大変なのは分かりますけどね。だからって…。
「子桓殿、ちとお話が…」
「分かった。もうすぐ区切りがつくから、そうしたら行く」
子桓貴方、今日は時間があるからずっとここで私の手伝いをしてくださる筈では?
仲良くしろと言った手前、嫉妬がみっともないのも認めますが…。そんなに親しそうにされると…、ね。

「どうした?」
意地の悪い笑みを浮かべて、子桓が私を伺う。
「別に…ただ、どうなったかと思いまして」
半分本当、半分嘘。
子桓に言い付けられた責務のうち、厄介なのは次の二つ。
一つ目が主公の友人であった蔡伯カイ殿(蔡ヨウ)の娘が凶奴の元で生存しているのが知れたから、何とか取り戻せということ。
二つ目が前将軍の馬寿成殿(馬騰)とその一族の入朝を迎えること。

一見たやすく見えはするが、寿成殿はまだ衛尉となるのを承服していないし、蔡娘にいたっては凶奴の単于の妻となって子までなし、帰都の意思がないのだとか…。

他の細々した責務も厄介ではあるが、この二つほどではない。この二つを成功させれば主公の覚えもめでたいだろうし、従軍が少しばかり遅れても取り返しはきく。

ただ…。いつけりがつくのかさっぱり見通しがつかないから、蔡娘のことで子桓が不必要に文和殿(賈ク)と懇意になるのが…どうしても…。


「さて…、少し文和殿のところに行ってくる。また戻ってきて手伝うからそんな顔をするな」
にやと笑う子桓が私の前に屈んで顔を覗き込んでくるのに、別に…と答えようとして…。
顔を上げたその瞬間、唇が触れた。

「〜〜〜!」
「また後でな」
余裕たっぷりのその顔に、やられた、と思う間もなく子桓は行ってしまった。

ええい、この借りは寝台の上で今晩たんと返して差し上げますからな!

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