08/29の日記

19:16
観察(曹丕視点
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いろいろと。
そう、色々とやることがあるのだ私には。

確かに、父はとっくに荊州へと出発した。
「良いな、後は頼んだぞ」
重要ではあるが何も今しなくても…という事柄を私に託して。それらがいつ片付くのか、おそらく父ですら分かっていないだろうから、ひょっとすると今回の戦に私は間に合わないのではないのかという疑問がぐるぐる頭を巡る。


何とも心配気な顔で、師父はちらちらと竹簡を処理する合間に私を見ている。まあ、それも仕方ないのだが。
いつ私が出発するのかと何度も問われ、けれど曖昧にしか答えなかった。いや、答えられなかったといった方が正しいか…。
その答えに師父は何度も首を傾げた。
荊州を攻めるということはつまり、いよいよ父が天下掌握に乗り出したという証。なのにその戦にああだこうだと理由をつけて、私を連れていかないなんて…という事だろう。
父が後継者として私達兄弟の誰を選ぶかで揺れている、という噂に師父は神経を尖らせている。だから今回の大掛かりな戦で華々しい手柄を私に上げさせ、揺れる父の心を一気に引き寄せたいのだろう。

だが肝心の私がここで師父の手伝いに明け暮れている現実。
気にはなるが、だからと父の言い付けを放ったまま私を荊州に行かせるわけにもいかないし。
悶々とする師父の心が見えるようで…。

どうせしばらくは都を離れることもできないから、私も暇つぶしにと平静を装いながら、私を気にする師父を観察してみた。

…面白いかもしれない。

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