儚い緑
□届かない
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「イオンどうしたんだ、そんなに汗かいて?」
「えっ」
そっとおでこに手をのせると、確かに汗ばんでいた。
「イオン最近何か変じゃないかぁ、何か前と違」
「誰のせいで変になってると想っているんですか!?」
いきなり大声を上げたせいか、ルークはきょとんとした表情で僕を見下ろす。
「…今のは聞かなかった事にして下さい…」
少し動揺しつつ、立ち上がる。
「気にしないで下さいね」
ルークに向かって柔らかく微笑む。
「少し、疲れているだけですから…」
ルークとは顔を会わさずに、すれ違う様に皆の所へ向かおうとすると。
「…俺のせいか?」
「え…?」
「俺がイオンに迷惑かけてるから…?」
「ルーク、あなたのせいではありませんよ…」
ルークから離れないと、離れなくては、もう、押さえきれない。
「でも」
「ルーク、僕にはもう構わないで下さい。ルークも、僕に対して、おかしいじゃないですか…」
冷たく言い放つと、僕の腕を掴み、ルークの目の前に引っ張られた。