色々
□此方向いて
1ページ/3ページ
「やだよ…ジェイドぉ…行かないでよぉ」
「……………」
「ジェイドっ…ジェイドぉっ〜…」
ジェイド、貴方は何時も私を置いていく…
追い掛けても追い掛けても、私の前から消えて行く…
あの頃も、そして今もきっと…
「ジェイド…」
「何ですか?」
「…………」
「用事が無いのなら、私はもう行きますよ…?」
「待って…行かないで…」
きっと、泣いてもジェイドは行ってしまうだろう…
そう想うと、胸の底が痛くなった。
「………好き………」
無意識のまま呟いてしまった言葉、恥ずかしさで一杯になる。
「サフィー」
「さぁっ、速く行って下さいっ」
今の私の顔は、きっと真っ赤ですね。
ジェイドに好きと、そう言えばずっと言っていませんでしたね…。
もっと、もっともっと伝えたい。
貴方に好きだと、愛していると…。
「…サフィール…」
ジェイドが私の名前を本当に小さく呟くと、私の背中に抱きついて来た。
暖かい胸に、冷たい手。
そっと、貴方の手をとって、頬に当てる。
「……ジェイドの手……」
何故でしょう、涙か…涙か…。