中華戦乱
□第2話
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カンカンカンカンカン…
これがこの宮廷内での起床の合図だ
ちょっと早い時間に目が覚め、そのまま布団の中でぼんやりしていた僕は合図を聞いて起き上がった
冬に積もった雪も溶けて暖かさの増してきたこの頃は布団から出るのもそう苦にはならなかった
宮廷内に住む人々はみんな“食事の間”で一緒に食事をとる
流石に皇帝はいないが大臣達もいる
そうやってみんなで食事が出来るのもこの国のいいところだと思う
食事は自分で好きなものをお皿に取っていく形なので、僕は自分が食べる分だけとると適当に空いてる席に座った
「よ!こう」
「こうちゃん、おはよう」
ちょっとすると朱衛と琉穂が来て同じ机の空いてる席に座った
これも日課になっている
「おはよう。琉穂はまた果物ばっかり?」
「こうちゃんだってお粥ほんのちょっとだけじゃない」
「まぁまぁ…琉穂は昼の前におやつもあるからいいんだよ。こう、お前本当にそれでいいのか?今日は稽古の日だぞ?」
この国には国が抱える兵の他に空龍皇帝の私設団“龍皇騎士団”というものがある
団長はそこにいる朱衛
団員は団長自らによって選抜されるため、現在は五人と一見少ないが、実際は戦争が始まった時に軍を仕切る総大将を朱衛が勤めるのだからなかなか侮れない
そして騎士団の団員は週に二回行われる稽古に出る事が義務づけられていて、今日がその稽古の日なのだ
団員である僕も勿論参加しなければならない
「だからだよ。今日は棒術の稽古でしょ?あんまり食べると吐きそうだし…」
「あぁ・・・確かに今日はみっちりしごくからな。新人団員も入った事だし」
「それより僕は琉穂のおやつの時間って言うのの方が気になるんだけど」
「いいでしょ〜お昼はちゃんと食べるし」
「だからって…」
「琉穂はいいんだよ」
「またそうやって琉穂甘やかして」
「おぅ、悪いか」
「はぁ…もういいけど」
ま、琉穂はご飯あんまり食べたがらないし
何か食べてくれるだけましかな…
「それにしても甘過ぎだけどね…」
「ん?何か言ったか?」
「何でもないよ」
「???」