立海一家シリーズ

□立海一家と消えた妖精
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数分後、溜息と共に、跡部の謝罪が幸村達に届いた。

『悪い…。ジローは無事だ。あのバカやはり沖縄行きのジェットに乗ってやがった。凛の撮影スタッフが俺様の家に集合していたんだが、岳人達と一緒にそれを見てたらしい』

「その人達についてっちゃったの?」

『俺達には内緒にして欲しいっつうジローの我が儘に、凛が共謀したようだ。心配をかけてすまなかったな。あいつには後でちゃんと言い聞かせておく』

「無事ならそれでいいよ。空の上なら誘拐犯達に見つかる事も無いし、安全だろう」

『誘拐の件はまだ伏せておくつもりだ。ジローはこのまま沖縄に行かせる』

「ああ、その方がいい。自分の代わりに雅治が誘拐されたなんて知ったら、心を痛めるだろうからね」

幸村の気遣いに、電話の向こうの跡部は短く息を吐いた。

「あ、それでね跡部。俺も今からこのみ公園に行こうと思うんだけど」

『…はっ!?』

跡部はもちろん、立海家の面々も皆、声を失っていた。

「だってさぁ、ウチの子誘拐されて大人しく待ってられないよ。跡部が警察に連絡しないでくれて良かった。俺が直々に、彼らにお礼をしたいからね」

『待て幸村!雅治なら必ず無事に帰してやる!ウチの特殊部隊を信じろ!余計な事はするな!!』

「そうだ精市!犯人グループの詳細が判らない以上、此方から動くのは危険過ぎる!」

「やだなぁ。跡部も蓮二も、そんなに慌てないでよ。ちゃんと雅治を保護してからの話だよ?」

幸村は少しだけ眉を下げながら笑んだ。

「その後の犯人達の処遇は、俺に任せて欲しいな」

「私も行きます」

静かに、柳生が立ち上がった。

「私は保護された後の雅治君のケアを。本当なら犯人達を八つ裂きにしてやりたい所ですが、私は私の仕事に務めます。もちろん、部隊の方々に御迷惑をかけるような事はしません」

「おれも!」

「おれもいくーっ!」

「お前達はダメだ」

それを見てブン太と赤也が息巻くが、直ぐ様ジャッカルが制した。

「なんでだよ!?まさ助けに行くんだろぃ!」

「わるいやつ、つぶしてやる!」

「ならん!!」

ぎゃんぎゃんと喚く子ども達を黙らせたのは、雷鳴のような怒号だった。

「そうやって囀るだけの雛鳥に何が出来る!お前達の出る幕など無いわ!!」

漆黒の前髪から覗くその眼光が、二人を射抜く。

ブン太は唇を噛み締め、ジャッカルの服を掴みながら悔しそうに真田を見上げる。
赤也は完全に臆し、急いで柳の陰に隠れた。

「厳しいなぁ真田は。危ないから子ども達はお家で待ってなさいって言えないの?」

「黙っていろ…」

『…ったく、お前等は…』


パチン、と。指を打つ音が響いた。




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