立海一家シリーズ

□立海一家と消えた妖精
1ページ/9ページ

【狙われたのは誰だ】


「大変だ!まさがっ…まさがさらわれたっ!!」

そう言って、立海道場に飛び込んで来たのは、向日岳人だった。

「何だと!?」
「雅治が…!?」

まず真田が声を荒げ、幸村が、切迫した表情で言った。

「まさ…車が来てっ…それで、おれっ…おれが、もっとしっかりしてたら…っ!」

「待て。気持ちはわかるが、まずは落ち着くんだ」

息を乱し、パニックになっている為、岳人の説明は要領を得ない。その小さな背に手をかけ、柳は諭すように撫でた。
岳人はべそをかきながらも、柳の手に合わせ呼吸を整えようとする。

暫し待ち、頃合いを見て、三人は同時に訊ねた。

「何があったんだ?ブン太」

三人は気付いていた。向日岳人の格好をしているものの、この少年――顔つきも声も、丸井ブン太そのものである。

「ジロくんちで遊んだ帰り…まさと二人で歩いてたら、とつぜん目の前に車が止まって……何だろうって思ったら、人が出て来て、まさを捕まえようとしたんだ…。おれ、あぶねーって思ってまさの手つかもうとしたけど、突き飛ばされてっ…気付いたらもう、まさは抱えられて、車ん中に…そんで、車は行っちゃって…っ」

嗚咽を堪えながら、ブン太は語った。
幸村が抱き締め、よしよしと頭を撫でる。真田は拳を硬く握り、怒りに震えた。

「ブン太、雅治を攫った奴らの顔や、車のナンバーは覚えているか?」

柳の質問に、ブン太は首を振る。

「顔は、ぼうしやサングラスで…見えなかった…でも、男だと思う…ナンバー……わかんない…っ」

ブン太も小学1年生だ。
目の前で家族を連れ去られるというそんな状況で、車のナンバーを確認出来る程、冷静ではいられないだろう。

「そうか…。すまないな、ブン太。では、これだけ教えてくれ。攫われた時雅治は、芥川慈郎の格好をしていなかったか?」

ブン太が頷くと、岳人の髪型を模した鬘が、道場の床に滑り落ちた。




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ


©フォレストページ