立海一家シリーズ
□立海一家のハロウィンパーティー
3ページ/6ページ
【Trick or treat!!】
ハロウィン当日。
幼稚園では、子ども達がかぼちゃおばけの塗り絵をしていた。
それを切り取って、お面を作る。子ども達は、顔や額にそれを付け、遊戯ホールに集合した。
「は〜い、みんなぁーおばけのお面は被ったかな〜?」
キヨ先生の問いかけに、みんなは「はーい」と手を上げる。
「今日はハロウィンやから、園長先生がみんなに、お菓子を配ってくれます!みんな、さっき教えた言葉、ちゃんと言えるかーっ?」
今度は謙也先生が問い、園児達はまた、素直に「はーい」と答えた。
「それじゃあみんな、せーので言うよ〜!せーのっ」
とりっく おあ とりーと!!
みんなで一斉に唱えると、ホールの入口から、黒い大きな影が現れた。
「…ァ…ァ……」と小さな声を漏らしながら、ゆっくりと園児達に近付いて来る。
これは、何処かで見たような……?
「ギャアアアァアッ!!?」
まず声を上げたのは薫だった。
その後続々と悲鳴が上がり、あまりの恐怖に、園児達は逃げ惑う。
「うわああぁあっ!!かおなしだーっ!」
涙目の赤也が叫んだ。
「え?かおなしって なに?」
「こしまえ あかん!たべらえてまうー!!」
一人よくわかっていないリョーマだけはその場に座ったままで、金太郎が目に涙を溜めながら、リョーマの腕を掴み引っ張って逃げた。
「み、みんな落ち着いて!園長先生だから!怖くないから、ねっ?!」
「アホか!何やねんその仮装!子ども達びびらせてどないすんねんッ!!」
キヨ先生を始め、先生方は必死で園児達を宥めるが、パニックを起こした子ども達は止まらない。
一方、園長扮するカオナシは、謙也先生にど突かれていた。
「ケンヤぁ!あぶないっ」
金太郎が、園庭で遊んだ時に作った泥だんご(球体は歪だが硬くてぴかぴか)を、カオナシに向かって投げつけた。
「痛…ッ!!」
漏れ聞こえたその声を聞き、泥だんご(物理攻撃)は効くと判断したのか、薫も泣きながら自分の泥だんごを持って来て投げた。
「ふちゅ〜〜…っ!!」
「おれも てつだうぜ かいどー!つぶれろっ!!」
「ちょっ、痛っ…脛はやめて…ッ!!」
赤也も参戦し、泥だんごの襲撃を受けたカオナシは、ホールから逃げて行く。
「ふ〜ん…ようかいたいじ」
その状況を間違って理解したリョーマが呟いた。
そしてやはり自分の泥だんご…と、おもちゃのラケットを持って来て……
「りょーまどらいぶ!!」
綺麗なフォームで止めを刺す。
「やれやれ……想像以上に視界が悪…ぐはぁッ!!」
カオナシが倒れ、謙也先生は瞬く間に引き戸を閉めた。
そして、キヨ先生と目を合わせ、力強く頷く。
「え〜っと、それじゃあ妖怪さんも倒したので、先生達がお菓子を配りまーす。みんな、並んでくださ〜い」
こうなってしまっては仕方がない。
園児達は担任の先生から、順番にお菓子を受け取った。