立海一家シリーズ

□立海一家外伝
2ページ/6ページ

【白虎ラジオ】


桜の記憶

Lyrics 忍足侑士
Music Carmine hawk
Vocal 白虎

君から「手をつなぎたい」と 言って欲しくて少しだけ
早足で歩く帰り道 名を呼ばれて振り返る

強い風が吹いて 雨のように降り注いだ
花びらの中 君へと

小さな約束 桜の記憶
「今はまだ これだけだよ」と 引き寄せた左手の
薬指へと 触れた唇
お互いに忘れてたけど 思い出した ふたり同時に――





『はい!お届けしたのは、俺ら白虎の新曲“桜の記憶”でした。んん〜っ絶頂!!』

『今回この詞を提供してくださったのは、コノミ賞受賞作家の忍足侑士さんなんですが…、今日はなんと、その忍足先生をゲストにお招きしました!忍足先生、どうぞ!』

『よろしゅう』

『忍足先生、めっちゃイケボなんやけど!』

『この歌歌とる君達には言われたないなぁ』

『俺達には無い低音の素敵な声じゃないですか。学生時代合唱のパート分けでバスだったりしませんか?』

『あ〜やっとたわ。ソロもやった事あるで』

『ほな俺らより歌上手いんちゃう?どないするサエ?』

『じゃあさ蔵、次の曲出す時には、一緒に歌って貰おうか?』

『堪忍してぇな。俺はしがない小説家やで』

『しがない事ないやろ〜。今大人気の恋愛小説家っちゅうたら、やっぱ忍足先生やし!』

『そういえば、蔵と忍足先生には意外な繋がりがあるんだって?』

『せや。俺の友達がな、実は忍足先生の従兄弟やねん!』

『世間は狭いなぁ』

『その従兄弟さん、忍足先生が作詞するって知ってどうだった?』

『めっちゃ驚いてた!』

『「何で侑士が作詞すんねん?白虎ってめっちゃ爽やかやねんで!?」とか言うてなぁ。俺の書くもんが爽やかやないみたいやんけ』

『ははっ。あいつそんな事言うたん?』

『うちのマネージャーが直々にお願いに行ったんですよね。忍足先生の所に』

『せやったなぁ。俺、小説は書いとるけど詞は書いた事あらへんかったし、最初は何で俺なん?て思たわ』

『けど、流石は侑士クンや!ほんま、ええ文章書くなぁ』

『忍足先生の作詞で歌えてるなんて、光栄だよね』

『おおきに。まぁ詞だけあってもどうにもならんし、曲が良かったんちゃうん?作曲家の先生はこのラジオ来おへんの?』

『あ〜…Carmine hawkさんなぁ。あの人、出演NGやねん』

『年齢も性別も公表してないので、もちろん顔出しもしないそうですよ』

『君らは逢うた事あるん?』

『まぁ、あるっちゃあるけど。なぁ…?』

『どんな人かは秘密だよ、ね?』

『何やねん。のこのこ出て来た俺が出たがりのナルシストみたいやん』

『いやいや、出演してもろてほんま感謝しとんで侑士クン!』

『忍足先生のファンの方々も、先生の声が聴ける貴重なチャンスだしね』

『そんでな侑士クン、詞についてけっこう質問が来とるんやけど、ええかな?』

『答えられへん質問やったら心を閉ざすで?』

『それはあかーん!放送事故になってまうやんかっ』

『とりあえず読むよ。雌虎ネーム:北海道のことちゃん。さんから、「あの詞は、侑士さんの実体験なんですか?」だって』

『何で俺の実体験を他人に歌わせなあかんねん。フィクションや。小説書く時みたいに白虎の二人登場人物にして書いたもんやで』

『え?これ、俺とサエのラブストーリーやったん?』

『アホか!何でそうなんねん!?自分ら二人とも「僕」目線に決まっとるやろっ!』

『舞台でいうとダブルキャスト的なね』

『そういうたらそないな感じでPVも作っとったわ。堪忍』

『蔵、てへぺろしたってリスナーには見えないよ?これはラジオなんだから』

『ほな次の質問いくでー。雌虎ネーム:ゆかえりさんから。「詞にあるように、侑士さんは彼女から手を繋ぎたいと言って欲しい人なんですか?」やって』

『自分切り替え早いなぁ。まぁええわ。さっきも言うたけどフィクションやし。俺は自分から「手〜つなご」って言うで。向こうから手ぇ繋ぎたい言うて欲しくて、わざと早足で歩きそうなんは佐伯やな』

『…何でわかったんだ?』

『ちょっ…サエほんまか?!』

『うん。だって俺、束縛して欲しいから』

『んで、左手の薬指にキスしそうなんは白石』

『蔵、そうなのか?』

『ああ〜どうやろ?ちゅうかPVでしてもうたし!』

『あれなぁ、恭しく手ぇ取って王子様みたいにするんとちゃうねん。相手の指が上向くように手首から引き寄せて、指の付け根にするイメージや。まぁ指輪の代わりやな。ちゃんと伝わっとって安心したわ』

『その辺も含めてめっちゃ演技指導入ったからな』

『やっぱストーリーがしっかりしてる分、厳しかったよな』

『あの桜って本物なん?』

『本物やで!撮影中にええ感じに花びら舞ってくれてめっちゃ絶頂やったわ』

『でも本当に雨みたいに降り注いだ時があって、風は強いし花びらで顔が隠れちゃうしで何度かNGになったよね』

『どんだけ降るねん!ってな』

『撮影終わる前に全部散っちゃうんじゃないかって心配になったよ』

『そら大変やったなぁ。自然相手はほんま、難しいやんな』

『そんなPV付き限定版と、CDのみの通常版、2種類あるで。みんな買ってな。買わん子ぉには……毒手ビィィィーーム!!』

『まだ買おうかどうか迷っている其処の君?……俺達をフリーにしちゃ、ダメだよ?』

『自分らエコー利かせてえらい事言うなぁ』

『侑士クンも宣伝あったらしてええで?』

『先生のファンの方々も、期待してるんじゃないかな?』

『ほな失礼して。実は明日、エンペラー出版から俺、忍足侑士の新作、“カレイドスコープ”が発売されます。オムニバス形式の恋愛小説なんやけど、良かったら読んだって下さい』

『買わんかったら?』

『心を閉ざす』

『皆さん、忍足先生が心を閉ざさないようにお願いしますっ』

『ほな!本日のゲストは、小説家の忍足侑士先生でした〜』

『おおきに』

『それでは、本日はこの辺で。お相手は、白虎のサエこと、佐伯虎次郎と』

『蔵こと、白石蔵ノ介でした。んん〜っ絶頂!!』

『俺は抜けないよ!』




この番組は、King of kingdomの提供で、お送りしました。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ