立海一家シリーズ
□立海一家外伝
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【白虎ラジオ】
桜の記憶
Lyrics 忍足侑士
Music Carmine hawk
Vocal 白虎
君から「手をつなぎたい」と 言って欲しくて少しだけ
早足で歩く帰り道 名を呼ばれて振り返る
強い風が吹いて 雨のように降り注いだ
花びらの中 君へと
小さな約束 桜の記憶
「今はまだ これだけだよ」と 引き寄せた左手の
薬指へと 触れた唇
お互いに忘れてたけど 思い出した ふたり同時に――
『はい!お届けしたのは、俺ら白虎の新曲“桜の記憶”でした。んん〜っ絶頂!!』
『今回この詞を提供してくださったのは、コノミ賞受賞作家の忍足侑士さんなんですが…、今日はなんと、その忍足先生をゲストにお招きしました!忍足先生、どうぞ!』
『よろしゅう』
『忍足先生、めっちゃイケボなんやけど!』
『この歌歌とる君達には言われたないなぁ』
『俺達には無い低音の素敵な声じゃないですか。学生時代合唱のパート分けでバスだったりしませんか?』
『あ〜やっとたわ。ソロもやった事あるで』
『ほな俺らより歌上手いんちゃう?どないするサエ?』
『じゃあさ蔵、次の曲出す時には、一緒に歌って貰おうか?』
『堪忍してぇな。俺はしがない小説家やで』
『しがない事ないやろ〜。今大人気の恋愛小説家っちゅうたら、やっぱ忍足先生やし!』
『そういえば、蔵と忍足先生には意外な繋がりがあるんだって?』
『せや。俺の友達がな、実は忍足先生の従兄弟やねん!』
『世間は狭いなぁ』
『その従兄弟さん、忍足先生が作詞するって知ってどうだった?』
『めっちゃ驚いてた!』
『「何で侑士が作詞すんねん?白虎ってめっちゃ爽やかやねんで!?」とか言うてなぁ。俺の書くもんが爽やかやないみたいやんけ』
『ははっ。あいつそんな事言うたん?』
『うちのマネージャーが直々にお願いに行ったんですよね。忍足先生の所に』
『せやったなぁ。俺、小説は書いとるけど詞は書いた事あらへんかったし、最初は何で俺なん?て思たわ』
『けど、流石は侑士クンや!ほんま、ええ文章書くなぁ』
『忍足先生の作詞で歌えてるなんて、光栄だよね』
『おおきに。まぁ詞だけあってもどうにもならんし、曲が良かったんちゃうん?作曲家の先生はこのラジオ来おへんの?』
『あ〜…Carmine hawkさんなぁ。あの人、出演NGやねん』
『年齢も性別も公表してないので、もちろん顔出しもしないそうですよ』
『君らは逢うた事あるん?』
『まぁ、あるっちゃあるけど。なぁ…?』
『どんな人かは秘密だよ、ね?』
『何やねん。のこのこ出て来た俺が出たがりのナルシストみたいやん』
『いやいや、出演してもろてほんま感謝しとんで侑士クン!』
『忍足先生のファンの方々も、先生の声が聴ける貴重なチャンスだしね』
『そんでな侑士クン、詞についてけっこう質問が来とるんやけど、ええかな?』
『答えられへん質問やったら心を閉ざすで?』
『それはあかーん!放送事故になってまうやんかっ』
『とりあえず読むよ。雌虎ネーム:北海道のことちゃん。さんから、「あの詞は、侑士さんの実体験なんですか?」だって』
『何で俺の実体験を他人に歌わせなあかんねん。フィクションや。小説書く時みたいに白虎の二人登場人物にして書いたもんやで』
『え?これ、俺とサエのラブストーリーやったん?』
『アホか!何でそうなんねん!?自分ら二人とも「僕」目線に決まっとるやろっ!』
『舞台でいうとダブルキャスト的なね』
『そういうたらそないな感じでPVも作っとったわ。堪忍』
『蔵、てへぺろしたってリスナーには見えないよ?これはラジオなんだから』
『ほな次の質問いくでー。雌虎ネーム:ゆかえりさんから。「詞にあるように、侑士さんは彼女から手を繋ぎたいと言って欲しい人なんですか?」やって』
『自分切り替え早いなぁ。まぁええわ。さっきも言うたけどフィクションやし。俺は自分から「手〜つなご」って言うで。向こうから手ぇ繋ぎたい言うて欲しくて、わざと早足で歩きそうなんは佐伯やな』
『…何でわかったんだ?』
『ちょっ…サエほんまか?!』
『うん。だって俺、束縛して欲しいから』
『んで、左手の薬指にキスしそうなんは白石』
『蔵、そうなのか?』
『ああ〜どうやろ?ちゅうかPVでしてもうたし!』
『あれなぁ、恭しく手ぇ取って王子様みたいにするんとちゃうねん。相手の指が上向くように手首から引き寄せて、指の付け根にするイメージや。まぁ指輪の代わりやな。ちゃんと伝わっとって安心したわ』
『その辺も含めてめっちゃ演技指導入ったからな』
『やっぱストーリーがしっかりしてる分、厳しかったよな』
『あの桜って本物なん?』
『本物やで!撮影中にええ感じに花びら舞ってくれてめっちゃ絶頂やったわ』
『でも本当に雨みたいに降り注いだ時があって、風は強いし花びらで顔が隠れちゃうしで何度かNGになったよね』
『どんだけ降るねん!ってな』
『撮影終わる前に全部散っちゃうんじゃないかって心配になったよ』
『そら大変やったなぁ。自然相手はほんま、難しいやんな』
『そんなPV付き限定版と、CDのみの通常版、2種類あるで。みんな買ってな。買わん子ぉには……毒手ビィィィーーム!!』
『まだ買おうかどうか迷っている其処の君?……俺達をフリーにしちゃ、ダメだよ?』
『自分らエコー利かせてえらい事言うなぁ』
『侑士クンも宣伝あったらしてええで?』
『先生のファンの方々も、期待してるんじゃないかな?』
『ほな失礼して。実は明日、エンペラー出版から俺、忍足侑士の新作、“カレイドスコープ”が発売されます。オムニバス形式の恋愛小説なんやけど、良かったら読んだって下さい』
『買わんかったら?』
『心を閉ざす』
『皆さん、忍足先生が心を閉ざさないようにお願いしますっ』
『ほな!本日のゲストは、小説家の忍足侑士先生でした〜』
『おおきに』
『それでは、本日はこの辺で。お相手は、白虎のサエこと、佐伯虎次郎と』
『蔵こと、白石蔵ノ介でした。んん〜っ絶頂!!』
『俺は抜けないよ!』
この番組は、King of kingdomの提供で、お送りしました。