□『Merry X'mas…from your Santa claus』
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その日の夜、俺を心配した柳先輩から電話があった。

「すんません。俺、どうしたらいいかわかんなくなって…」

覚束ない話し方で、思った事を伝えた。

「俺…もう二度と思い出せないんスかね。あのマネージャーのこと…」

確かに、マネージャーの俺へのガキ扱いはムカつく。

でも、俺はそのマネージャーに懐いてたんだ。

俺が気に入る要素がきっとあった筈。

全然好みのタイプじゃない、あの先輩を…。


その時、電話の向こうの柳先輩が言った。

「へ?メールを見ろ…?」

通話を切った後、俺は柳先輩に言われた通り、携帯のメールボックスを開いた。

送信済みメールの中で一番目を引いたのは、柳先輩の名前。

何だ…あのマネージャーより、柳先輩へのメールの方が多いじゃん。


とりあえず一番上にあるメールを開く。




To 柳先輩
Sub やりました!!

月乃先輩クリスマスあいてるらしいっス!
俺のお願い、聞いてくれるって!
柳先輩に相談して良かったっス!





「何だ…?このメール」

それはもちろん、俺が柳先輩に送ったメール。

月乃…って、確かマネージャーの名前だよな?

俺はもう一つ下のメールを開いた。




To 柳先輩
Sub 助けて下さい!

クリスマス、月乃先輩をデートに誘うにはどうしたらいいんスか?
普通に誘っても断られそうなんスよね…。





デート…?デートって何だよ?
何だよこのメールは?!

何しようとしてたんだよ俺!!


俺にとって、クリスマスはすげぇ特別なイベントだ。

だって、サンタからプレゼントが貰える日だから。

イヴの夜には、家族でパーティーした後、ちょっと早めに寝て、サンタクロースを待つのが、毎年恒例。

クリスマスの日に目を覚ますと、枕元にプレゼントが……って、あれ?

俺今年のプレゼント何頼んだっけ?

いつも必ず、これが欲しい!ってモンがあるのに。

何だったか、覚えてねぇ……。


その後も俺は、メールボックスのメールをひたすら読んだ。

柳先輩へのメールのほとんどに、“月乃先輩”の名前があって、俺はずっと、マネージャーの事を柳先輩に相談していた。



今の俺はどうしても客観的に見てしまったけど、それでも簡単にわかった。

昨日までの俺は、“月乃先輩”の事が大好きだった。








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