□待ち合わせ
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「月乃…先輩……」

「赤也。起きた?」

「…へ?」

気が付くと、目の前の景色が変わっていた。

さっきと、角度が違う。

…ていうか、今の声!月乃先輩は!?
え?「起きた」って何?

俺はいつの間にか倒していた身体を起こした。

至近距離に、月乃先輩がいた。

「へ?俺…えっと…」

もしかして…もしかして!

「ね…寝てました?」

月乃先輩は頷いた。

「ちょっ…何で起こしてくれないんスかぁ!」

「だって、気持ち良さそうに眠ってたから」

「せっかくの月乃先輩とのデートが!」

何やってんだよ…俺…!!


……ん?

ちょっと待てよ…?

さっきの体勢、もしかして…

「月乃先輩、もしかして今…」

よく思い出すと、寝心地がすげぇ良かったかも。

「膝枕、してくれてたんスか?」

「最初は隣に座ってたんだけど、赤也が倒れてきたの」

俺のバカ!何でもっと味わっとかなかったんだよ!
月乃先輩の膝枕…寝てたから全然覚えてねーよ…。

「赤也、疲れてた?」

「違うっス!昨日あんま寝てなくて…すんません俺…せっかくデートなのに…」

携帯で時間を確認した。

あれから1時間半くらい経ってる…。

「先輩、大丈夫っスか?重かったっスよね…?」

「赤也」

「へ?」

「もう眠くない?」

「え、あ、うぃっス!」

「じゃあ」

月乃先輩はベンチから立ち上がった。

あ、私服…。

かわいいなぁと思いながら、俺は月乃先輩に言った。

「デート、してくれるんスか?」

「一応…そのつもりで来たけど?」

「月乃先輩!」

ベンチから立ち上がり、歩きだした月乃先輩に追い付く。

「先輩!手繋いでいいっスかっ?」

「いいって言う前に繋いでるのは誰?」

「へへっ!あ、先輩。もう一個お願いがあるんスけどっ」

「何?」

繋いだ手を少し引き寄せて、俺は言った。



「月乃…って、呼んでいいっスか?」







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