也
□呼び方選び
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「月乃先輩っ」
改めて呼んだ。
「俺は月乃先輩って呼ぶんで、月乃先輩は俺の事、名前で呼んで下さいよ!“切原君”じゃなくて」
「…赤也君?」
「それでもいいけど…いや、やっぱやだ。“赤也”がいいっス!」
さぁ呼んで下さいと言わんばかりに、月乃先輩を見ていると、月乃先輩の唇が動いて、 あかや って言った。
何でかよくわかんねぇけど、それがスゲェ嬉しくて、俺は思わず笑って、もう一回!と言っていた。
「そんなに好きなの?自分の名前」
「当たり前じゃないっスか!12年間この名前だしっ」
そう言ったけど、たぶん違う。
好きなのは自分の名前じゃなくて…
「赤也」
アンタが呼んでくれる、自分の名前。
「うぃっス!」
だから、もっといっぱい呼んでくれよ。月乃先輩。
これからも、ずっと。