□SugarRain
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「月乃先輩〜」

「…何?」

「今日はもうそれくらいにして、帰りましょうよー」

集中している月乃の後ろから届く、赤也の声。

下校を促す後輩に賛同することなく、マネージャーは作業を止める事はなかった。

「私はまだ残ってるから、赤也は先に帰ってくれても…」

「嫌っスよ!月乃先輩残して帰るなんて!」

待たせたままなのは心苦しいので、そう提案したが、言い終わる前に、赤也に断固拒否される。

月乃は困ってしまった。
赤也はどうしても一緒に帰りたいらしい。

「あ、そういえば今日は雨が降るらしいっスよ?降り出す前に帰りましょ?」

「天気予報じゃ、降り出すのは深夜からって言ってたから、まだ大丈夫よ。念の為折り畳み傘持って来たし」

そんなに早く帰りたいのか、赤也は頻りに月乃を下校させようと仕向けてくる。

しかし、月乃はそう簡単に意志を曲げない。

思うとおりの返答が得られず、赤也は必死になって知恵を絞った。

「雨降ってきたら、月乃先輩、帰ります?」

「だからまだ降らないってば」

「もし降ってきたら!」

雨はまだ降らない。

月乃はそう確信していた。

だから、溜息と共に、「降ったらね…」と告げた。




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