□赤也流あたため方法
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「先輩〜寒いっスー」

部活の帰り道、赤也はさっきからそればかり。

「赤也、マフラーは?」

いつもしている学校指定のマフラーを、赤也は身につけていなかった。

「忘れたっス…」

「何処に?」

「部室。部活の後だったし、学校出る時は寒くなかったんスよー」

コートのポケットに手を入れ、身を縮ませながら歩く赤也。

月乃は見ていられずに言った。

「私の…使う?」

「へ?」

見ると、月乃は自分のしているマフラーに手をかけていた。

「いいっスよそんな!!月乃先輩のとかスゲェ嬉しいんスけどそんな事したら月乃先輩が寒いじゃないっスか!」

慌てて、赤也はその行動を止めた。

マフラーをはずそうとする月乃の手を押さえ込むように。

「ちょっ…先輩!手ェめちゃくちゃ冷たいっスよ!?」

その時触れた月乃の手がとても冷たく感じ、赤也は更に声を上げた。

「そう…?」

「アンタ俺の心配してる場合じゃないっスよ!?」

その冷たさを再確認するかのように、赤也は月乃の手を取った。

「月乃先輩…言わないだけで、本当は寒いんでしょ?」

赤也はまっすぐに月乃を見据え、そう言った。

「寒いけど、だからって騒ぐ程の事じゃ…」

「俺があっためてあげるっス」

赤也はにんまりと破顔した。

「…?」

「俺ん家、行きますよ」

「え?」

月乃の手を取ったまま、赤也は歩きだした。

「ちょっと赤也…待って」

「いいからいいから」

月乃の意見など聞く事もなく、自宅へ向かった。




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