也
□きっとこれからも言い続けるコト
1ページ/2ページ
「先輩っ!待って下さいよ。送っていきますってばっ…月乃先輩!」
部活の帰り道、すたすたと歩く月乃先輩の後を追い掛け、小走りに駆け寄る。
夕日が眩しい。
月乃先輩は俺が追い付く前に、ふと、足を止めた。
「月乃先輩?」
「…きれいね」
空が赤く染まり始めていた。
立ち尽くしている先輩に、ゆっくりと近付く。
隣に立ち、その顔を覗き込むと、月乃先輩の表情は何処か、淋しげだった。
「月乃先輩…?」
俺が呼びかけると、月乃先輩はすぐにいつもの月乃先輩に戻り、何でも無いと言わんばかりにまた歩きだした。
赤く彩られた空と光が、月乃先輩を包み込む。
行っちまう…――
何故か、月乃先輩が消えていくような錯覚に陥った。
俺は思いきり腕をのばし、月乃先輩を捕まえた。
月乃先輩の身体を引き寄せ、離れていかないよう腕の中に押さえ込む。
「赤也…?」
意外にも、そんな状況で月乃先輩は落ち着いた声を出した。