赤
□Be My Valentine
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運動部のマネージャーって、どんなイメージ?
ドリンクの用意とか、怪我したら手当てしてくれたりだとか、もちろん部員の応援してくれたりするよな。
でもさ、漫画とかでよくあんじゃん。
差し入れです〜って、手作りの菓子とか、レモンの蜂蜜漬けとか
持って来てくれたりさ……
するもんじゃねぇの?
それが俺の勝手なイメージだとしても、期待するじゃん。
だって、バレンタインデーだぜ?
「ああ、あいつがくれるわけねーよ。無理無理」
着替えを終え、大量に貰ったチョコを食いながら、丸井先輩が言った。
「でもマネージャーだし、部員に配ってくれるかもって、期待するじゃないっスか〜」
期待がはずれた俺は、のろのろと着替える。
「香宮はそういう可愛げのあるタイプじゃないだろぃ?俺にさえくれねぇじゃん」
確かに、バレンタインには菓子を貰うのが恒例行事みたいな丸井先輩も、月乃先輩には貰ってないらしい。
望み薄過ぎて、俺はネクタイを結びながら溜め息を吐いた。
「そんなに欲しかったんなら“ください”って頼めばええ。嫌とは言わんじゃろ」
ロッカーを閉めながら、仁王先輩が言う。
「それじゃただのチョコ食いたい人みたいじゃないっスか」
「貰えるならええじゃろ?贅沢言いなさんな」
荷物を背負い、ドアへと向かう仁王先輩。
ふと立ち止まり、こちらに視線を向けた。
「ああ、一つええ事を教えといてやろうかの」
「へ…?」