赤
□あかやは せっていおんど をおぼえた!!
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「………さっむ!!」
その夜、俺はあまりの寒さに目を覚ました。
急いでリモコンを取り、エアコンを消す。
「…はぁ」
薄い掛け布団を必死に被り直すと、俺は再び目を閉じた。
朝まで、そのまま―――
「ぁ、月乃先輩、ぉハよぅございます」
「おはよう、赤也…何?いつもと少し声が違う気がするんだけど」
登校早々、月乃先輩に指摘された。
「そぅなんスよねぇ。何カ喉がぉかしくって…」
いつもよりかすれた声で話すと、月乃先輩は心配そうに俺を見上げる。
「大丈夫?」
「へぇきっスょ、これくらぃ」
笑ってみせるが、先輩は納得いかないらしい。
先輩は鞄の中を探った。
「はい」
「ェ?」
取り出したのは、プラスチックの容器。
「喉飴。効くかわからないけど」
「いィんスか?」
「出来れば、授業時間外にね。それと…無理はしないように」
俺は喜んでそれを受け取った。
「どーもっス!」
先輩に心配して貰って、俺は意気揚々と授業に出た。
「ヘヘっ…」
風邪ひくのも悪くない、とか思ったり。
でも…
風邪というものは、そんなに甘くなかった―――