赤
□問題児
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「…赤也?」
「げ…っ」
思わずそんな声を発してしまった事を、俺は後悔した。
月乃先輩は、怪訝な顔で俺に近付く。
俺はささやかな抵抗として、月乃先輩に背を向けた。
結局、意味は無かったけど。
「その怪我、どうしたの…?」
「な、何でもないっスよ…!ちょっと転んだだけっス!」
「それなら、どうして保健室に行くか、私の所に来ないの?」
「たいした事な…痛っ」
腫れた頬に、月乃先輩の手が触れる。
「手当てするから、部室に来なさい」
「…はい…」
やっぱり、月乃先輩に逆らう事なんて出来なくて、俺は部室に付いて行った。