赤
□It's alright
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「せーんぱいっ。そんな難しい顔ばっかしてると、疲れちゃいますよ?」
待ち合わせ場所に現れた月乃先輩は、浮かない顔をしていた。
当然だと思う。
事の発端は、俺の英語のテスト。
月乃先輩に教わったおかげで、今までで最高の点数がとれた。
(カンニング疑惑までかけられた程だ。)
月乃先輩に褒めて貰い、調子にのった俺は、『何かご褒美くださいっス♪』と、期待の眼差しを向けた。
すると…
『じゃあ、デートさせてあげる』
満面の笑みでそう言ったのは、月乃先輩でなく、幸村部長で。
『今度の日曜、部活は休みにしてあげるよ』
神様が降臨したっス!!
おかげで月乃先輩は、不本意ながらも此処にいる。
「先輩…」
俺は悲しげな目を向け、月乃先輩に言った。
「俺とデートするの、そんなにイヤなんスか…?」
月乃先輩は途端に困った顔になる。
「別に、嫌なわけじゃ…っ」
それを聞いたらこっちのモノ。
ガキ扱いは嫌だけど、年下の特権を使うのは、また別。
俺ってけっこう小悪魔かも…。
「なら良かったっス!何処行きましょーかっ?」
調子良く笑みを浮かべる俺に、月乃先輩は呆れながらも言った。
「赤也の行きたい所へどうぞ?」