赤
□Be My Valentine
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玄関のドアを開けた月乃先輩は、珍しくびっくりしていた。
「…赤也…?」
「どうもっス」
テニスバッグを担いでいない方の手で、大事に抱えたバラの花束。
サイズはちょっと小さいけど、俺の小遣いで買えるだけ買った。
「月乃先輩。どうぞ!」
「…え?」
「今日バレンタインっスからっ」
『香宮は帰国子女じゃき、日本のバレンタインは馴染めんのかもしれん。アメリカじゃ貰う立場だったけぇの』
『何で月乃先輩が貰うんスか?』
『女が男にチョコ贈るんは日本だけじゃ』
『それマジ!?俺日本に生まれて良かったぁ〜』
『じゃあ…俺から月乃先輩にあげたらいいんスねっ?』
「日本以外の国は男から女にプレゼントするんスよね?だから俺から、月乃先輩に!」
俺が差し出す花束を見て、月乃先輩は少しだけ困った顔をしたけど、そっと手をのばし、花束を受け取った。
「…ありがとう」
「えっと…何か小さくて悪ぃっス。月乃先輩、もっと豪華なプレゼントいっぱい貰ってたんだろーけど…」