□恋心
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近藤と十四郎は大阪で開かれた、全国警察機構幹部会議が終了した後、休暇を取って大阪の町を楽しんだ。
ところが、予約していたホテルのダブルブッキングというアクシデントで、ホテル側が用意したのはそのホテル一番のスイートルームだった。
男二人でスイートルームは無いだろうと、近藤はホテル側に抗議しようとしたが、
「俺はかまわねぇ、疲れてる寝られりゃぁ何処でも良いぜ」
不機嫌そうな咥えタバコの十四郎の声が近藤の後ろから聞こえた。
思わず振り返り、
「いや・・・そりゃぁ・・・」
フロントで揉めてる二人の男に他の客が不審の目を向ける。
近藤と十四郎は私服だ。
しかし、黒いスーツにサングラス。
他人から見れは如何にもその筋の人間。
誰も、真選組の局長と副局長だと思わない。
そんな客達の雰囲気を察した支配人は、躊躇する近藤を無視して、片手を高く掲げてパチンと指を鳴らすと、その音に近くにいたボーイが反応する。
「お二人をお部屋にご案内して」
ニッコリと営業用の笑顔を作り、
「どうぞ、ごゆっくり。あっ、料金はご心配無く、当方の手違いですのでツインの料金で結構です」
ボーイの後を追う近藤に耳打ちした。
そんな事問題じゃぁねぇと心の中で呟きながら、近藤は十四郎と一緒にボーイの後に付いて行った。
部屋に入ってビックリ。
なんと、キングサイズのダブルベット。
入口で固まる近藤だが、十四郎は平気な顔をしてソファーに座るとタバコをテーブルの上の灰皿に押し付け上着を脱ぎ、
「風呂に入ってくらぁ」
そう言い残して、十四郎はバスルームへと向かった。

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