□永遠のパートナー・・・その後の二人 
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十四郎は無言のままタバコを燻らせながら夜道を歩いている。
その数歩後ろを肩を落とし項垂れた近藤がトボトボと付いて来る。
空には満天の星。
近藤は歩きながら"すまいる"での出来事を後悔していた。
感情にまかせて十四郎に対する気持ちを吐露してまった事を。
近藤は坂本から十四郎を嫁にすると言われてから、突然胸の奥に湧き上がって来た十四郎への想いに戸惑っていた。
長年親友で片腕だと思っていた。
が、しかし思い返してみると、そう思っていたこと事態が自分で自分を偽っていたのではないかと気付いた。
男が男に対して女を想うように恋愛感情を持つなどあり得ない、十四郎に対する自分の感情は友情なのだとずっと信じていた。
十四郎が坂本へ向ける笑顔が、自分だけに向けられていた笑顔が坂本にも向けられているのを見た時に、ずっと自分が抱いて来た感情が友情では無く愛情であると知った。
それと同時に、坂本に対する醜い嫉妬の念が湧きあがって来るのを感じた。
坂本も近藤と同様に"すまいる"のホステスに惚れ込んでいたはずなのに、十四郎にちょっかいを掛ける等我慢出来なかった。
数日前に十四郎が坂本と一夜を過ごし戻って来た。
迎えに出た近藤の目前で、坂本が十四郎の頬に口付けをした時十四郎は拒絶しなかった。
ほんのりと頬を染め恥ずかしそうに俯く十四郎の仕草にそこはかとない色気を感じた。
十四郎に対する想いと坂本に対する嫉妬で近藤の気持ちに歯止めが利かなくなり、今夜坂本の顔を見たとたんに爆発してしまったのだ。
近藤は項垂れながらも前を歩く十四郎へ全神経を集中していた。

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