□愛 ('08.8.25)
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「トシ、今日はいい天気だから外に出ようか」
近藤は窓のカーテンを開けながら、横に眠る十四郎へと声を掛けた。
朝の光が差し込む部屋の中で未だに布団の中の十四郎は、間だ寝ていたいという意思を掛け布団を頭まで上げ布団に潜りこむ事で近藤に示した。
近藤と十四郎は一つ違いの幼馴染で、ルームシェアをしている・・・と言うのは表向きで、二人は高校時代からの恋人同士だ。
「あああ、駄目駄目。久し振りに休日が一緒なんだから」
と、掛け布団をめくり十四郎の背中をパンパンと叩いた。
それでも体を丸めて起きる様子のない十四郎に業を煮やした近藤は、
「トシ、起きねぇんだったら・・・」
ムフフフと奇妙な笑みを浮かべて、両手の指をワナワナと動かし十四郎に近づいた。
「ほーらトシ、覚悟しろよぉ〜」
コチョコチョと十四郎の背中をくすぐり出したのだ。
「やっ、止めろよ」
我慢出来無くなった十四郎が、自分の体の上に覆いかぶさるようにいる近藤へと顔を向けた。
すると今度は逆に十四郎がニヤリと片方の口端しを上げ近藤の首へ片腕を回すと、
「俺まだ目が覚めねぇ、あんた俺が目を覚まさせてくれよ」
挑発するような十四郎の言葉に、
「望むところだ」
トシと愛しさを籠めた優しい声で近藤は十四郎の名を呟き、口付けの期待で薄っすらと開かれた十四郎の唇を吸い上げた。
何時しか近藤の首に回されていた十四郎の片腕が両腕になり、近藤も華奢な十四郎の体を抱き締めた。
軽い気持でじゃれあっていた二人の行為が、いつしか日常的に繰り返されている行為へと変わっていった。

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