□★愛の鍵(近藤さん誕生祝い)('08.9.4)
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大江戸の中心地に一際目立つ超高層ビル。
ビルの前の小さな緑地が若者達の待ち合わせの場所としても有名だ。
その場所に立つ一人の女性。
長身でスラリとした肢体。
白いブラウス、グレイのボトルネックのチュニックワンピース。
ふくらはぎまでの細く長い足にフィットした黒のカルソンパンツを履き、足元は黒のパンプス。
長くストレートの艶やかな黒髪は其の白い肌を際立たせる。
切れ長の澄んだ瞳を長い睫が縁取り、形の良い唇は紅く熟れた姫リンゴのように可愛らしい。
只、立っているだけで通り過ぎる人々の目を惹いている。
その視線に気付き、恥ずかしげにホンノリと頬を染める女性。
その仕草がまた人々の眼を釘付けにする。
その女性こそ、真選組副長土方十四郎。
十四郎に向けられ好奇の眼。
そう思っているのは十四郎だけ。
十四郎は自分の姿が他人からどのように見られているのか知らない。
その端整な顔立ちと、均整のとれた肢体。
ファションモデルのように美しい。
女性からも男性からも憧憬の眼で見られている。


今、十四郎は恋人の近藤を待っている。
大勢の人々が行き過ぎる中に十四郎は恋人の姿を見つけた。
十四郎よりも上背があり、鍛え抜かれたガッシリとした体が頼もしい。
素肌に白いセーター、そしてこげ茶色のジャケットを着た近藤も又人目を惹いた。
遠くから十四郎の姿を見つけて、手を振ってやってくる近藤の姿に十四郎は眼を細める。
「トシ、待たせたな」
近藤はいきなり十四郎の華奢な体を抱き締める。
十四郎から爽やかな香水の香がする。
突然の事に驚く十四郎がクスリと笑って。
「勲さん」
十四郎も近藤の逞しい体に抱きつく。
衆人の中で抱き合う恋人達。
その姿は、テレビドラマでも見ているような錯覚を起こさせるほどその場に違和感が無かった。
「ねっ、ロケでもあるのかしら」
「綺麗な人ね。女優さんからし」
「男性の方だってカッコ良いんじゃない」
行き過ぎる人達は、抱き合う二人に振り向きながら囁き有っている。

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