□Cross-Purpses (完結)
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「隊長ぉ、最近局長の機嫌悪くないですか?」
山崎は向かい側で黙々と朝食を摂る総悟に小さく尋ねた。
「自業自得なんでぃ、あの人はまるっきり解かっちゃいないでぇ、ほっとけょ」
と、我関せずを決め込んで、山崎の膳の卵焼きに箸をのばす。
「そんな事言ったて、朝から真っ暗いオーラ全開じゃこっちが気分悪いですってぇ・・・って、隊長それ、最後に食べようって残しておいた卵焼きですよぉぉぉぉ」
と、掠奪されそうな卵焼きを必死で箸で押さえようとしたが、一瞬の時間差でそれは総悟の口の中に納まってしまった。
「なんでぇ〜、男が卵焼きの一つや二つでガタガタ言うんじゃねぇヨ」
「そう言う問題じゃなくて・・・・ウウウッ」
と、いまにも泣き出しそうな山崎を尻目に
「ほら、近藤さん不機嫌の原因が来たゼ」
と、食堂の入り口の方向を顔をしゃくって示した
「おはよう」
咥えタバコの副長が入って来た。
それまで、無言で居た近藤が
「おはよう、トシ。飯まだだろうこっちに来て食べろ」
と、自分の横の畳をバンバンと叩いてニコニコ顔で土方を誘った。
「おう、近藤さん今日もやる気満々だな。俺飯済ませて来たからそれに、今日中に提出する書類まだ出来上がってないから、直ぐ仕事始めるからな、折角だが悪い」
とそのまま、出て行こうしたが、
「トシ、まぁお茶くらい飲んでいけよ。其の位気持の余裕がなきゃ、いい仕事は出来んぞ。山崎ぃ! トシにお茶入れてくれ」
「まぁ、アンタに言われたかぁ無いけどなぁ」
苦笑しながら、近藤の横に座った。
それまで、不機嫌だった近藤の顔が柔らかくなった。
「山崎ぃ、見てみろィ近藤さんの顔。あれだけ緩んじゃみっともねぇったらありゃぁしねぇよなぁ。ごっつぉさん」
と、自分の食器を持ってさっさと席を立ってしまった。
横目でおそるおそる近藤の顔を覗き見ると、自分では意識していないのだろうが先程と同一人物かと疑いたくなる程柔らかな顔をしていた。
・・・不機嫌の原因が副長・・・
総悟の言葉が山崎の頭中に浮かんで来た。
土方の前に茶を出して、今度は土方を見た。
そう言えば、最近の土方は以前は無愛想で不機嫌そうな顔をして近寄りがたい雰囲気を漂わせていたが、近藤とは逆に柔和な表情をするようになった。

・・・トシの奴最近顔つきが優しくなったんだよなぁ〜・・・
隣に座って、山崎の入れたお茶をすする土方の顔を見た。
・ ・・しっかしぃ、こいついつ見てもいい男だよなぁ〜って言うか男にしちゃ綺麗なんだよなぁ〜
 ああーあ、あんな優しい顔しちゃって、またまた、町の女たちがキャァキャァ騒ぐだろう
なぁ〜・・・
「トシ、どうだ一人暮らしはさぁ。寂かぁないかぁ」
「おう、一人暮らしったてぇ寝るだけだがなぁ。でも最高だぜ、何せ総悟の襲撃気にせずに寝れるんだぜぇ。こんな良いこたあねえぜ」
「そっかぁ、そりゃ良かったなぁ。最高って言えばさ、お妙さんがさ、俺たち付き合いだしてもう一ヶ月になるだろう。その記念にってサ今度俺の好物お妙さん自ら作ってご馳走してくれるってンだ。何ご馳走してくれるんだか今から楽しみなんだなぁ〜・・・って、トシ?」
と、横を見れば土方は近藤の話そっちのけで山崎とお茶うけの事でバトルを展開していた。
「山崎ぃ〜!てめぇ早く俺のスペシャルマヨネーズ持って来いよ」
「土方さん、お茶うけにマヨネーズは変ですよって言うか、沢庵にマヨネーズは無いでしょう!」
「うるせぇ〜!沢庵っていったらマヨネーズ、マヨネーズって言ったら沢庵っ言う位切っても切れねぇナイスな組み合わせなんだよぉ!」
ゴホンと、咳払いして自分の方へ土方を向けさせようとしたが土方は山崎を殴り倒してそのまま席を立ってしまたった。
  ・・・トシ・・・
近藤は、土方が傍にいるだけで気持が安らぐ自分を感じていた。

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