archetype≠Book

□UNBALANCE≠デイズ
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人生とは辛いものだ…
苦難や心痛を堪えながら生きていく
それは平和な世界でも変わらない
むしろ平和な方がちょっとした日常を苦しく思ってしまう
例えば、会社に行きたくないとか…
朝起きるのが辛いとか…

「…たと…えば…学校に…行くための…坂が…きつい…とかっ!!」

現実ってのは過酷なもんだ、目の前のこの果てしない坂を自転車で登る…はっきりいって死ぬ
心臓は限りなく早く胸を突き破りそうな程高鳴っている
時間を掛ければ掛ける程に体は悲鳴をあげ
荒い呼吸で肺は焼け浸く、校門まではもう少しだが
この学校の坂は校門の後にも坂が続くのだから
必死に登ってくる此方にしてみれば地獄に等しい

「…ふっ…ん…ぐっ、こ…こん…ち…くしょ…う!!」

頂上に辿り着く、体を伝う汗がポタポタと零れ落ちる
端からみれば、まるでフルマラソンでもしてきたかの如くだ
「おはようございまーす」と掛けられる挨拶に

「おう、おはようさん」

と、気軽に声を掛ける
これが咲神 諒の朝の風景であった
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