小説
□瞳ノ色
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「あんたの目は色んな色に変わるよね」
「どうしたの?突然」
「いや・・・何となくさ。」
「変なネズミ」
色が変わる訳じゃない
変わるのは瞳の纏う雰囲気かな。
嬉しい時には日の光を浴びた明るい色へ
悲しい時には曇りの空の色
怒った時は真っ赤に燃える炎の色へ
感情だけじゃない
時に紫苑は瞳に光を湛えて前を見つめるし
真っ暗な闇の中では獲物を見つめる猛獣の様にぎらめく。
無意識に首の後ろに触れていた
あの時は心の底から紫苑が怖いと思った
体の芯が冷え、微かな震えが起こり、耳鳴りがした
目が、目が据えていた
湛えた闇は暗い。