復活

□シンデレラ
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あるところに、シンデレラと呼ばれている、やたらとジャージ姿が眩しい男の子がいました。シンデレラは今日もジャージを着て継姉の部屋を一生懸命掃除していました。


「なぁ雲雀、この間没収したエロ本どこに隠したんだよ?あれ、友達のだから返してもらわないと困るのな」

「とっくに処分したに決まってるでしょ。校内に風紀を乱すものを持ち込まないでよ」

「えぇーっ!!」

「それより部屋散らかすのやめてくれない?気が散って仕事にならないんだけど」

「散らかしてるんじゃなくて掃除してるんだって!本棚綺麗になっただろう?」

「そうは見えないけど…。まぁ良いよ。
こっちにおいで山本武。おやつの時間にしようか」


継姉は冷蔵庫から白い液体が入ったビンを取り出すとシンデレラに尋ねました。

「君は確かコレが好きだったよね」

「えっ?何、くれるのか?」


シンデレラが喜んで手を伸ばそうとすると、継姉はビンの蓋をあけ、突然中身をぶちまけました。

「何やってんだよ雲雀!?」

白い液体が自分にかかりそうになったのを寸前のところで避けたシンデレラは、継姉の行動に信じられないと声をあげました。
ちっとも悪びれた様子のない継姉は、零れた液体を指差して言いました。



「舐めて」


「は…?」


「君がよけたせいで床が汚れてしまった。責任とって、床にはいつくばって綺麗にしなよ。君の好きな牛乳だろう?」


「俺がよけたせいっていうか雲雀が中身ぶちまけたせいなのな」


「フフ…心配しなくても、君がちゃんと掃除していたなら綺麗なはずだよ。遠慮せずに飲みなよ」


かなりアブノーマルなことを、淡々と話す継姉にシンデレラは困惑しました。


「えっと………冗談?」

「僕は本気だよ。冗談は嫌いなんだ。」

「いや…!でもさすがに俺でも腹壊すかなーって…」

「そう…それなら仕方ないね」



『ブシュッ』



シンデレラが、継姉の手に水鉄砲が握られていることに気付いた瞬間、距離をとる暇もなくシンデレラの顔に白い液体が噴射されました。

「………」


「美味しかった?」


「牛乳は好きだけど、かけられるのは嫌なのな!!」


「それは悪いことをしたね。」


なんてちっとも悪くなさそうな口調で言った継姉は、シンデレラの顔に手を添えると、シンデレラの口の横をペロリと舐めました。

「っ…、雲雀!?」

「綺麗にしてあげるからおとなしくしてなよ」

「おとなしくって…!?これじゃあ…」


「今頃気付いたの?これは僕にとってのおやつの時間なんだよ。美味しく食べてあげるから安心しなよ」


「ちっとも安心じゃないのな!!ていうか俺、今から部活!!部活があるのな!!」


貞操の危機を覚えたシンデレラが思わず叫んだ時です。部屋のトビラが勢いよく開けられました。


「何てことしてるんですか貴方達!?」



継母の登場で、継姉の拘束が緩んだ隙に、シンデレラは、継母の元へ駆け寄っていきました。


「骸〜!!」

「よしよし、怖かったですね〜。僕がきたからにはもう大丈夫ですよ!」


怯えたシンデレラの頭を撫でる継母を見て継姉は不機嫌全開になりました。

「何、君?噛み殺されにきたの?」


「武の着替えを持ってきたんですよ!いつまでもジャージじゃかわいそうですからね!」

「え…」


継母が手にしてるものを見てシンデレラの顔が凍りました。


「メイド服です。」

「まだ、牛乳まみれのジャージの方がマシなのな」

「心配しなくても、これを着せてこき使おうなんて考えてないですよ。ただ、メイド服を着て僕にお茶を容れてくれるだけで良いんです!」


力説する継母にシンデレラは、やや引き気味でした。

「いや、こんなビラビラした服着れないって」
 

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