草紙(長)

□天馬の嘶きは天に響く―参―
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「おのれ・・・・!鳴蛇のやつめ、どこへ行った!!」

天を翔けながら、激情を隠さずに翻羽(ほんう)は叫んだ。
天馬達を八つ裂きにし、踰輝(ゆき)を攫った妖異のうちの一人。その後を追った翻羽達ではあったが、途中でその足取りを見失ってしまった。

「・・・・一体どこへ・・・・・・」

引き攣けを起こしたように息が詰まる喉で、越影(えつえい)はそっと言葉を紡いだ。
踰輝、踰輝―――!
心の中で、何度も名を呼ぶ。

『兄さん、越影、助けて―――・・・・・・・!』

一番最後に聞いた助けを求める声が、耳に焼き付いて離れない。
必死に伸ばされたその手を、自分達は掴み取ることができなかった。
あの時、それがどれだけ悔しかったか。
必ず救い出すと誓い、見つけ出した純白の天馬は―――意思なき人形と化していた。

「踰輝・・・・・・・・・」

必ず、助けに行く。助けに行くから・・・・・。

「待っていろ――――!」

再び、あの温かく穏やかな日を手に入れる!







決意を固いものとし、純白と漆黒の天馬は闇夜を翔けていく――――――――。







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