草紙(長)

□曼珠沙華はうち時雨に濡れる―伍―
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命尽きる前にもう一度だけ彼の人に会いたいと思った。






本当は当の昔に尽き果てていたはずの命。






彼の人が手を差し伸べてくれたおかげで今尚在り続けている。






終焉の秒読みは始まっている。






最後、貴方の顔を見ることが出来てとても嬉しかった。






これでもう心残りは無い。






後は静かに終わりの刻<とき>を待つのみ。









紅き曼珠沙華の花が風に揺れている。







 
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