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□are you ready?
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父スパーダの伝説を探して回り、俺は沢山の逸話やお伽話を沢山の人から聞いてきた。
若い頃は嫌いだった古臭い本も、年齢を重ねるに連れてそう悪いモンじゃないと思えてきた。
文献では謎のまま終わった事の真実を知っていたりすると少し嬉しくなったりもした。
マティエ婆さんから聞いた親父の話もとても誇らしいものだった。
さて、次はどんな話を探そうか。
なんて事を考えていた矢先、そいつはやって来た。
とてもクレイジーに。
自宅に帰ってきた俺を出迎えたのが“俺”だなんて
こんなクレイジーな事、早々無いだろう。
「だからよー…ちょーっと思い付いたからやってみたらよ…ホントに出来て…」
怒られた子供の様に言い訳をしている目の前の男。
俺と同じ銀髪、碧い眼、赤いコート。
違う事と言えば、無精髭位か。
俺もそれが格好良いと思っていた時期もあったな。
「今日は仕事から帰って来て疲れてるんだ。言い訳は俺が風呂を出るまで待ってくれ」
溜息を吐きながらバスル−ムへと消える俺をその男は苦笑いで見送った。
「追い出す気はねぇか…。まぁ追い出されても行く場所がねぇの位解ってんだろうしな」
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