Story(long)〜連載モノ〜
□「破滅の世界」‐第二話
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「そんなに…謝らないで下さい」
微笑を浮かべながら照れたようにシャーリーはそういった。
「何の事だか分かりませんけど…きっと大丈夫ですよ、元気出してください、それじゃあ」
「…………」
そう言って立ち去る姿をただ見つめる事しか俺は出来なかった…。
それから呆然としながら家に帰るといつものようにナナリーと咲世子さんが『おかえりなさい』と声をかけてくれる。
「あぁ……ただいま」
「お兄様…??どうかしました??」
“ただいま”の一言でナナリーは俺の異変を悟ってしまったらしい…。
「……ぁ、えっ……??」
「何か元気がないように伺えたので…」
「…別に普通だよ…」
「…そうですか…」
ナナリーは目が見えないが見える人以上に回りの変化に敏感だ…。
ナナリーに心配かけないように普通を装った…。
「…ルルーシュさま!!?それより服がベタベタです!!どうなされたのですか??傘持ってませんでした??」
咲世子さんが心配そうな趣でこちらにタオルを持ってやって来た。
「…?…あぁ…ホントだ、外、雨降ってたんだな…」
あまりに無心に帰ってきたから雨が降り出していることにも気づか無かったらしい。
「とりあえずこのままだとお風邪を召されてしまいます、先に温まってきたほうがいいですよ、お風呂沸いていますから」
「あぁ、そうさせて貰うよ、ありがとう咲世子さん」
暖かい湯船につかりながら今までの事を振り返る…。
どれだけ頭の中で振り返っても現実で戻ってくることは無く、ただ悲しくて苦しい香りが立ち込めるだけだった……。