Story(short)

□openmuzzle
1ページ/1ページ



オレの幸せ…それはルルーシュの幸せだった…。


キミにとっての幸せはきっとナナリーの幸せなんだろう。


そんな事は分かっていた。

だけど。


だけど、それだからって。


信じたくは無かったよ。


“……人間じゃない…アイツは……"


そんな事さえ思ってしまうような事実。


ルルーシュはユフィをその手で殺し、俺を裏切った。

裏切ったんだ。


彼がゼロだと言うことは薄々気付き初めてはいた。

そうすれば全ての事に納得がいく。


でも信じたく無かったんだ。


友達の…親友の君が…。


「コレは復讐なんかじゃないんだよ…キミは許されないことをした…」


我を忘れる程の怒りで躰が上気し拳が震える。


「じゃあどうしろっていうんだ!!! お前がオレの邪魔ばかりするからじゃないか!!!」


興奮するルルーシュ、自分は悪くない、仕方がないというように。

そんなキミもオレは見たくない。


「…最初から間違っていた…あの時に死んでいるべきだったんだ…」


“この…裏切り者…"


かつて親友だったとは思えない程の口調に言葉。


どうして。


…どうして。


気付いた頃にはお互いが銃口を開いていた。


もう遅い…。


開いた銃口は閉じることもなく。


「スザクッ!!!!」


「ルルーシュ――!!!!!」


叫び声が交差して頭に降りかかる。


オレかルルーシュか…、


どちらが血を流したのか。

どちらも血を流したのか。

真実は分からない。


だけど。


何故か悲しみに満ちたナナリーの顔が一瞬浮かんだ気がする。




目を開いても何も見えない。


暗い


暗い闇の中をただ独りで歩いている。


いつの間にか自分の顔が濡れていた。


「…ルルー…シュ……」


小さなその声は誰にも伝わらず、直ぐに闇に消え去る。



………ポチャン………――


溢れた滴は血なのか、涙なのか。


それすらも分からない程暗い所をただ歩いていた…。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ