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□王都陥落
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「この様な愚か者に捧げる程貴公の忠誠は安くなかろう?」
「貴様に陛下の何が分かる。教育機関を設け、行路を開拓し、異教の民に囲まれながらも民の生活を守る為に他国との友好を重んじ、貿易行路を築き上げた。
能なき者に出来る諸行ではないわ!」
シャンディガフの精神は、既に肉体的な痛みを凌駕している。
それでも平静を崩さないライネルは、傷を負った野生の将校を見下ろした。
「だがそれだけでは貴公の様な有能な指揮官を扱う事は出来まい。だが余は違う。我が軍門に下れ」国が滅び、国王が生き延びる事ほど無様な事はない。
同時に国王が死に、臣下が生き延びるのもまた無様だ、とシャンディガフは思っている。
「生き恥を晒す位なら死を選ぶ」
「残念だ。貴公は死ぬ事も出来ずに生き恥じを晒す事になるのだから」
ライネルはハイランドに目配せする。
周りの兵士がシャンディガフの手足を縛り上げ、玉座から引きずり出す。
「コーラルの首を前に心変わりは難しかろう。時が経てば気持ちも変わる」
ライネルは玉座に残ったハイランドを見返した。
「何やら不満そうだな‥‥」
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