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□王都陥落
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4、『落城』


アクアパレスの開門の時が合図だった。
ライネルはその時を待っていた。後方に控えるハイランドに合図が飛ぶ。
鏑矢が甲高い奇声を発して彼方へと消える。
シャンディガフは、鏑矢の音に面食らい、同時に沸き起こる焦燥に駆られた。
どこぞに控える遊軍、伏兵に送った合図に違いないと思ったからだ。
開門と同時に攻め入るだろうと思っていたが、帝国軍は軍を進めないだけに、伏兵の二文字が胸をよぎった。
シャンディガフの思考回路もまた、渇きと疲れが汚染し、回転力を鈍らせていた。
戻るべきか、攻めるべきかと聞かれたらこの時シャンディガフは、攻めねばならなかった。
伏兵があるならば、目前の敵だけでも減らしておく必要があった。
戻った所で、遊軍との合流がラハイナ軍に好機を呼ぶはずもない。
ラハイナ軍には攻めるしか選択肢がなかったのだ。
シャンディガフが迷っている間にも帝国軍からの矢の雨が降り注ぐ。
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