3週間と4日

□One week
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仕事が終わり、いつもの帰り道を歩く。





この道は実のところ結構遠回りだったりするのだが、

途中にあるイルミネーションを見るためにわざわざここを通っている。










いきなりだけれど皆さんはイルミネーションといえば何を思い浮かべるだろうか。





ツリーに絡まっているものや、そこらへんの木に絡まっているもの、

シカの形やツリーの形、サンタの形…などたくさんのものがある。






私はイルミネーションはすべて好きだが特に好きなのはツリーに絡まっているものだ。


ツリー自体とても綺麗だけれど、そこに光るイルミネーションが加わることで

存在感が増し、より美しく見えるからだ。







今私の目の前には大きいツリーがある。

とてつもなく綺麗だ。





このツリーは私の一番のお気に入り。




仕事終わりで疲れていてもこのツリーを

見ただけでフッととれてしまうのだ。






「綺麗…」






思わず声に出してしまう。同時に白い息も出た。





大きい木にいくつもの飾りがつけてあって、緑色によく映える。


赤、黄、青…華やかな色の中にピカピカと光る光や、ずーっと灯りをともしている光もあって。





その木全体には先ほどから降っている白い雪もかかっている。

雪があることで全体的におさまった色は一際輝いていて。




幻想的な雰囲気を醸し出していた。
















ふと、視界に白いものが入った。







見た瞬間息をのんだ。
















白いものとは失礼かもしれないが、彼は白かった。





黄色の色素の薄そうな髪に、雪のように白い肌。

首に巻いている白いマフラーに、身体全体を包み込む白いコート。






光輝く視界のなかで彼はとても美しかった。





何よりもツリーを見る瞳がとても綺麗で。





華やかな外見とは違い、落ち着いた空気を纏っている。










―――いつの間にか目を奪われていた。






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