桜歌(長編)完結

□明日を照らす桜
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ただ如月の家の為に。
100年経ってこの家も役割も私自身も変わってしまった。
昔とは随分違う。
そして
私は再び彼に会うことを恐れた。
彼に会って揺らぐであろう決心を壊さない為に。
きっとそれが当時の私に出来る精一杯だったのだろう。
でもそれが私の幸せに通じるのだろうか。
彼は前世で私に大切なものを与えてくれた。
仲間を、生きる意味を、自分の想いを、志を…そして恋を。
私はそんな彼に、何か与えることが出来たのだろうか。
何かしてあげれたのだろうか。
頬を伝う涙は何を意味しているのか。

私には分からないことばかりだ。
自分の気持ちにさえ気づけない。



…………私のやるべきこと




土方side


桜を後にして階段を降りると、そこには源さんが立っていた。
「…薫君には…会えたかぃ」
その言葉で確信した。
源さんは薫について“知っている”と。
「あぁ」
「薫と会ったとき、言っていたよ、土方君に会う資格が無いと」


  
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