桜歌(長編)完結

□咲く桜と散る桜
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土方のとがめる声を沖田はあまり気にしてなかった。
「そうですか…でしたらあの方を見ましたか?」
「…あの…方?…」
あの方……それが一体誰をさしている…のか。
その時、彼らの脳裏に一人の人間が映った。
お面を被り、銃を構えたその姿は誰かに似ていて、記憶に刻まれている。
「…その顔…見覚えがあるようですね…その方のことを黙っていていただけたらいいのです、普段なら殺しますが、その方が殺さなくてよいと申されたので監視にとどめましょう、と」

なんだ?
何かがひっかかる
その言葉にも、言い回しにも。
まるで『見つけてくれ』と言わんばかりに。
この言葉が何かを引っかからせるのだ。
「では、あの方が迎えを呼んでくれたので、そちらに…お待ちになられてますし」
「そりゃすまねぇ」
そう言って、立ち去ろうとすると声をかけられた。
「くれぐれも!誰かに話すことが無いように」
そして扉を開けた先にいたのは源さんだった。
「「「源さん!?」」」
「電話をもらって来てみたら…どういうことだね?」
「…いや…あの…いろいろあってだな…」
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