遠い日の記憶(長編)
□新選組と天皇家
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「貴方には関係が無いでしょ?土方副長」
人に刀を向けながら言い放つ土方を見て、溜め息をついた。
「なんでてめぇはいつも現れるんだ」
……もはや溜め息しか出ない。
「そんなに斬りたければ斬ってみたらいかがです?きっと後悔しますけど」
その言葉にムカついたのか、土方が刀を構えた。
その時、菊の家紋を腕につけた人が走ってきた。
「貴方はどこの藩の人間ですか!この御方をどなただと思っているんです?孝明天皇様の側近であるぞ!」
……どうやら天皇側の軍の人間がやって来たようだ。
まためんどくさい。
「弥生様、お怪我はございませんか」
「えぇ……では失礼しますね、土方副長」
そう微笑みかけながらその場を離れた。
「あぁ……この事は報告しませんので、ご安心を」
そう言ってから……。
「弥生様はあの方々に興味があるのですか?」
帰り際に突然言われたその言葉。
確かにそうなのかもしれない。
「彼ら、面白そうでしょ?」
その言葉に軍の人は首を傾げていた。