遠い日の記憶(長編)

□新選組
1ページ/3ページ



私が来たのは屯所の中の土方副長の部屋だった。

(…にしても…何故動物じゃないと思ったんだ?普通分からないだろ!)

「おい、てめえ一体何者だ、失敗作が逃げ出したときも居やがったよなぁ?どういうことだ?」

(…えっ?…ど…どうしよう!そうだ!!あの時見られてたんだ…よりによって…よりによって彼に!)

「………おい」

そう
私は忘れていたのだ。
あの時の彼の存在を……。
そこで私はある作戦に乗り出した。
名付けて
『動物になりきって誤魔化そうの会!』

「キュン?」

(これでどうだ!さすがの新選組、鬼の副長も動物だと思うだろう)

そう私は高をくくっていた。
………だが。
そんな期待を裏切るのも鬼の副長だ。

「今さら動物らしくしも無駄だ」

(…な…何でだ〜!!あいつの頭ん中どうなってんだ!どう見ても動物だろ!)

そして
二人はしばらくにらめっこをしても、どちらが話し出す訳でもなく、彼の目を誤魔化せない。
そう私は思った。

「………はぁ」

そんなため息と共に、私は人間の姿に戻った。

 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ