遠い日の記憶(長編)
□新選組
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私が来たのは屯所の中の土方副長の部屋だった。
(…にしても…何故動物じゃないと思ったんだ?普通分からないだろ!)
「おい、てめえ一体何者だ、失敗作が逃げ出したときも居やがったよなぁ?どういうことだ?」
(…えっ?…ど…どうしよう!そうだ!!あの時見られてたんだ…よりによって…よりによって彼に!)
「………おい」
そう
私は忘れていたのだ。
あの時の彼の存在を……。
そこで私はある作戦に乗り出した。
名付けて
『動物になりきって誤魔化そうの会!』
「キュン?」
(これでどうだ!さすがの新選組、鬼の副長も動物だと思うだろう)
そう私は高をくくっていた。
………だが。
そんな期待を裏切るのも鬼の副長だ。
「今さら動物らしくしも無駄だ」
(…な…何でだ〜!!あいつの頭ん中どうなってんだ!どう見ても動物だろ!)
そして
二人はしばらくにらめっこをしても、どちらが話し出す訳でもなく、彼の目を誤魔化せない。
そう私は思った。
「………はぁ」
そんなため息と共に、私は人間の姿に戻った。