また会える、その日まで(中編)

□〜夏〜
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〜夏〜

なんだかんだで1学期も終わりを迎えた。
特に何かが起こるわけもなく、結局友達すら出来なかった。
なのに。
なのに!
何で私はこんなとこにいて、こんな報告をするはめになってるのか。
考えずにはいられない。
だって自分ですらまだ、理解出来ていないのだから……。




 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 



それは夏休みに入ってすぐの出来事だった。
朝起きて、立ち上がろうとした瞬間。
突然の胸の痛みに倒れた。
この日。
カウントダウンが始まった。
昔から体が弱かった。
入院したり手術したり。
その度に親はすぐに治ると、いつも言っていた。
だけど今回は違った。
しばらくして気がついた両親が救急車を呼び、病院に運ばれていく。
遠くに聞こえる声に、まるで自分だけが別の世界にいるような錯覚が起こる。
そして再び目を開いて最初に見たのは
涙を流す両親だった。

どうやら私の命は長くないらしい。
もって半年。
延命治療をしてもどれだけ持つか。
これまでしてきた手術や入院は、心臓病のためだったのだと。
初めて聞いた。
そこで出した結論。
それは延命治療をしないということ。
どれだけ頑張っても寿命を半年先延ばしにするだけ。
それなら今できることを、やり残しの無いように精一杯やりたい。
それが私の願いなのだ。
親不孝な子だな、そう自分であざけ笑って。
生まれて初めて死を身近に感じた。


退院した私と両親は、部活動をしている生徒の声をバックに聞きながら、校長室を目指していた。
これからの私のことを言いに。
久しぶりに着た制服は何だか暑苦しくて。
でもとても懐かしく感じて。
そんな複雑な想いを胸に、校長室の扉を叩いた。

 

 
 
  
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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