また会える、その日まで(中編)

□〜春〜
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〜春〜

学園最高学年となって、クラス発表の日。
いつも通り目覚まし時計のけたたましい音で起きた私は、だいぶ着なれた制服に腕を通すと、勢いよく外へと飛び出した。
今日はこの学園で最後のクラス発表。
友達との待ち合わせ場所へと駆けていた。
別に遅刻というわけではないが。
学園の門を潜ると、すでにたくさんの生徒が掲示してある新クラスのメンバーを見ていた。
私は少し足りない背を必死に伸ばして紙を見た。

「っ!……マジでか」

その紙に書いてあった担任の名前は、あの日入学の日に見た中でも一番印象に残った先生。
土方先生だった。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 

新クラスは女子25人男子15人という割合のクラスだ。
どうやら友達は他クラスだったようで、知り合いなんてほとんどいない。
このクラスで1年過ごさねばならないと思うと、少し気が重くなる。
そんななかガラガラという音と共に、一人の教師が入ってきた。
その姿は2年前のあの日と変わらなくて。
つい見つめてしまっていた。
それを土方先生が気づいているとは知らずに。
自己紹介は淡々と進み、特に何をするわけでもなくその日は終わった。
高校なんてこんなものだ。
担任だって普段からそんなに関わるものでもない。
まぁ今年は進路の話で捕まるのだろうが。
そんな特に変わることのないはずだった人生に、突然黒い雲に覆われることなんて、このときは一つも思っていなかった。

 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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