桜歌2
□アイツと桜
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その電話は
突然やってきた
職員室の電話が鳴り響く。
テスト前なだけあって、各教科ごとにテスト用紙が積み上がっている。
学年によりテストの内容も違うが、難易度だけは揃えている。
それは全員が平等に、という配慮からだ。
「土方先生、電話です」
あぁ
俺への電話か、と電話に出るとその先から聞こえた声は、あのときの男からだった。
「土方先生ですか」
思わず手に力が入る。
「はい、そうですが何か」
冷静に冷静にと心の中で呟きながら声を発する。
「あの子のことで」
それだけで誰のことが言いたいのか、すぐに分かった。
「彼女が何か」
心を静めながら言葉を発っすると、相手の声色が変わった。
「貴様はアイツの何だ」
その言葉に怒りが満ちた。
「やっぱりあんたは薫のことを道具としか思ってねぇわけか!」
ついつい叫んだ声に、辺りが静寂に包まれた。
「…貴様この後暇か」
暇ではない。
だがここでは目立つ。
「……あぁ」