桜歌2

□壊れ始めた時と桜
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私のなかの





幸せな幸せな記憶





ようやく帰ってきた…





転生してから諦めていた。
過去の自分のように、何の偽りもなく笑えて、幸せだと言える日々。
でも
そんな日々を再び送ることが出来るのだ。
愛しき彼の手で。
でも昔と違うこともある。
昔は何も分からなかった。
私が何者か。
その先の未来も。
今は未来なんて見えない。
だけど
自分が何者なのか。
それが分かる。
自身に化せられた運命も。
いつまでも幸せに、彼らと暮らすことが出来ないのも。
全部、分かっている。
だから昔みたいに、何の偽りもなく笑えるかと聞かれると、断言出来ない。
それでも、この居心地のいい時間が過ごせるなら、名一杯笑おう、皆と話そう。
いつか時がきて、一緒にいれないその日が来るまで。
私の居場所は。
彼らの元にあるのだから。




私が一人黄昏て、決意を固めた。
それとほぼ同じ時間
総理官邸では不穏な空気が渦巻いていた。
それがこの先、彼らと私の運命を大きく歪ませることになるなんて、全然分からずにいた。



 
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